■ 白き聖地での出会い ■

「あっちゃん、どうやらここの様だよ〜。」
ハルカとアツヤが着いた先は大きな教会。
いや、教会なんてレベルではない。
ここはワンの酒場と同じように全ての教会を束ねる『大聖堂』なのだ。
「こんなとこの人間がなんでオレ達に…。」
「う〜ん…訳有りってマスターも言ってたし、何かあるんじゃないの?」
「まぁ…そうだな。とりあえず入ってみるか。」
「そだね。」
二人が足を進めかけたその時、歩いてくる人に気づく。
「誰か来たな。もしかするとあれがマスターの言ってた人かもな。」
歩いてきたのは二人。
一人は柔らかな色をした装束…おそらく修道女だろう。アツヤ達と同じくらいの年齢に見えた。もう一人は長身の男…笑顔だが底知れぬ威圧感があった。
「こんにちは。アツヤくんと、ハルカくん…ですね?」
先に話し掛けたのは歩いてきた男。
見知らぬ人間に名前を知られているという現実にアツヤは少しばかり体が硬くなる。
「あっ!警戒しないでください!話はワンさまから聞いております。」
手を前でわたわたと動かしながら言うのは隣の修道女。
「…ということはマスターが言ってたのはあんたの事か。」
アツヤが見るのは男の方だったが、それは男によって否定される。
「いえいえ。貴方達の仲間はこの子ですよ。」
「えぇ?!仲間って女の子なの?!」
ハルカの驚きに男は優しく微笑む。
「ふふふ。あぁ、申し遅れました。私はクリウス…ここで司教をやっております。」
「私はルカと申します。修道女…プリーテスです。」
優しく言う二人だったがアツヤ達の驚きは余計に大きくなった。
「ク、クリウスって事は…もしかして大司教の…ですか?」
ハルカは恐る恐る問いかける。
「そうですよ。」
すんなりと答えるクリウス。
大司教は全ての教会を束ねる人物である。
こんなに近くで姿を見れるのは余程の側近くらいだろう。
その隣を歩くという事はこの修道女も余程の位なのだろうか。
「あんたは?司教?司祭?それでも位が足りない気がするが…いったい何者だ?」
「ルカは私の姪なのです。そして唯一の肉親同士でもあります。と言いましても私は位など気にしてないのですけど…周りはどうしても気にしてしまうのでしょうね。」
苦笑いを浮かべるクリウス。その顔は少しの寂しさが感じられる。
「さて、私の話はさておき……アツヤくん、ハルカくん。それぞれの目的もあるでしょうが…この子を仲間に加えてやってもらえますか?ルカもまた、目的を持って旅立とうとしているのです。」
クリウスの言葉。それまで驚きで固まっていたハルカがルカに話しかける。
「ルカさんはどんな目的なの?」
その言葉に少し顔を曇らせるルカ。
「あ、あ!!ごめんなさい!!言いたくなかったらいいん…」
「世界を救うためです。」
慌てたハルカのセリフを遮り、ルカは思いもよらぬ事を言う。
その瞬間、またもやハルカはフリーズする。
言い放ったルカは力強い眼差しでアツヤを見る。
「…いいだろう。旅は道連れなんとやらってやつだ。俺達も目的があるから協力してくれるならこちらも協力しよう。」
「いいのですか?今までの方は私の言葉を信じてくださいませんでしたよ?」
「嘘じゃないんだろ?でなけりゃ、そんな目はできねぇよ。目を見れば本気かどうかくらい分かるさ。」
その言葉にルカの顔がほころぶ。
「ありがとうございます。」
クリウスとルカはゆっくりと頭を下げる。
「よし。とりあえず、ワンさんのとこに登録しに行かないとな…いい加減に立ち直れ。」
アツヤの会心の一撃。
ハルカは正気に戻った。
「いったぁ!!あっちゃん、何すんだよ〜。」
「いつまでも固まってるからだろ。これからワンさんのとこに登録しに行くぞ。」
「という事は…ルカさんは仲間なんだね☆」
ハルカは大げさに手を振って喜ぶ。
「そういうことだ。じゃあ行こうか、ルカ。」
「はい。では大司教様…いえ、叔父様。行ってまいります。」
その言葉にクリウスは穏やかに答える。
「いってらっしゃい。君達に神の祝福がありますよう…。」

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