■ 静寂の夜 ■

その夜、酒場の一室に泊まったアツヤとハルカの二人。酒場も閉店を迎え、静寂の空間と化していた。
「…あっちゃん、起きてる?」
静寂の中、ハルカの声が聞こえる。
「…どうした?」
一言返すアツヤ。ハルカはアツヤが起きている事を確認すると隣のベッドから起き上がり、背を向けるアツヤのベッドに腰掛ける。
「さっき、マスターにちょっと意味深なこと問いかけられたじゃない?事情知ってそうだったし…あっちゃん、大丈夫かな?…って。」
「…大した事じゃねぇよ。誰がどう言おうと…オレが何とかしないとならん事なんだ。」
途端にわたわたと目の前に回り込んでくるハルカ。
「『オレ』じゃなくて『オレたち』だよ!ミーがいるじゃん!あっちゃん一人じゃない!」
真剣な眼差しで見てくるハルカ。
いつもおどけているハルカだが、この目の時はそれを感じさせない力強さがある。
一瞬の静寂の後、目を瞑りながらさっきとは逆向きに背を向けるアツヤ。
「…わかってるよ。もう、さっさと寝ろよ。明日、寝坊したら置いてくぞ。」
その言葉にいつもの笑顔に戻ったハルカ。
自分のベッドにまた、潜り込む。
「あいあい☆おやすみ、あっちゃん♪」
程なく、すやすやと寝息が聞こえてくる。
静寂が再び、戻ってくる。アツヤは閉じた目をゆっくりと開く。
『一人じゃない』その言葉はハルカの口からここに来るまで何度も聞いた言葉だ。
「わかってるって…。」
小さくそう呟くとまた、目を閉じる。
 
まだ見ぬ仲間には明日、出会う。
その時にはまた一つ、小さな歯車がはめ込まれる。
そう…運命という玩具に。

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