■ 魔法と剣 ■

光が薄く差し込む森の中。その中を歩く人影が2つ。
いつ、魔物が襲ってくるかもしれないという張り詰めた空気の中、普通ならば口数も自然に減るはずなのだが…
「あっちゃ〜ん!!見て!!あんなとこにリンゴがなってるよ☆」
黒いローブに身を包んだ魔法使い「ハルカ」は木の上になっている赤い実を指さしながら叫ぶ。
「…あのな、ハルカ。お前の目は節穴か?よく見ろ。」
そう言うと魔法剣士「アツヤ」はジャンプすると剣を一振り。ヒュッという空気を切る音と共にリンゴが一つ落ちてきた。
「…??ただのリンゴじゃ…えっ?!」
リンゴを拾い上げたハルカの手の上でリンゴ…のようなものはニヤッと笑った。
外見はリンゴであっても果実には似つかわしくない牙を持ったモンスターであった。
「うわぁ!!な、なんだよこれぇ〜?!」
ハルカはあたふたとしながらリンゴを放り投げる。
「くっそぅ〜、ミーの期待を裏切って〜!!」
ハルカはそう言いながら持っていた杖で叩き割る。粉々になったリンゴは煙を上げて消える。モンスターである証拠だ。
「まっ、お前の勘違いだけどな。」
アツヤはやれやれと肩を持ち上げながら足を進める。慌ててハルカも追いかける。
「だって仕方ないじゃないかぁ…もう食料も無いし…腹ペコなんだよぅ。」
ハルカは腹を押さえながら言う。ここ数日の間、満足に食べれてない腹はもはや音も鳴らない。
「まぁ…確かにな。飯はともかく…酒がねぇのは辛いな。」
アツヤは空っぽの酒瓶を覗き込むと放り投げた。
「もぅ〜…あっちゃんはお酒ばっかりなんだからぁ〜…えっと…。」
ハルカは地図を広げる。使い古した地図は所々破れている。
「この森がここで…ん〜…あっ!!もぅちょっとで着くよ、あっちゃん☆」
ハルカはさっきまでの空腹を忘れたかのようにアツヤに駆け寄っていく。
「じゃあ頑張っていくか。そこの酒場で仲間を探すんだからな。」
「うん、いい人見つかるといいねぇ〜☆」
先が見えた希望からか森の中の光が増した気がした。
 
運命の糸が少しずつ交わりだす。

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