キリ番711番リクエスト:夕焼け

 Prismaticのメンバーの癒しであり,マスコット的存在の蔵馬莉兎。
 独特のペースと雰囲気でいつも莉兎Worldを繰り広げているが、その普段の私生活はいたって平凡だったりする。
「・・・おはよ〜。」
 朝、少し寝ぼけながら支度を済ませてリビングに入ると、母親は台所に立っていて、妹の章瀬(あやせ)と弟の遊詩(ゆうし)は2人そろって朝食をとっている。
 まるで絵に描かれた世界がそのまま抜け出てきたかのようなありふれた光景が目に入ってくる。
「莉兎、帰りに買ってきてほしいものがあるんだけど・・・。」
 手を拭きながら母親が台所から出てくる。
 帰宅部の莉兎は、学校帰りの買い物を頼まれる事が多い。
 母親と同じく忘れっぽい莉兎は、忘れないように手帳に書き込んでから朝食をとり始めた。
 蔵馬家の朝は和食と決まっている。
「行ってきま〜す。」
 まだ小学生の妹と幼稚園の弟に声をかけてから家を出る。
 これが蔵馬莉兎の基本的な朝だ。

「莉兎おはよ〜☆」
「あ、おはよ〜。」
 登校中に友達と会って、ペチャクチャしゃべりながら教室に入る。
 クラスの中での蔵馬莉兎は、特に目立つと言うわけでもなく、かと言ってまったく目立たない、地味な存在でもない、普通のクラスメートという感じだ。
「今日の数学って小テストだよね〜。最悪・・・。」
「えっ?!」
「えっ?!って・・・まさか莉兎、忘れてたんじゃ・・・。あんだけ言われてたじゃん。」
 友達にいきなりテスト宣告をされて、思わず声をあげてしまった。
「すっかり忘れてた・・・。」
「莉兎〜、あんた数学かなり苦手じゃなかったっけ??大丈夫なの?」
 得意科目、国語。苦手科目、数学。
 蔵馬莉兎はいたって普通の文系少女である。
「たぶん・・・。」
「ホント忘れっぽいね(笑)ファイト〜!!!」

「あ、あの雲プリンみた〜い・・・。あんな大きなプリンあったらく〜ちゃん喜ぶだろなぁ・・・。」
 数学のテストも何とか無事(?)終わり、今は4限目の国語の授業。
 ポカポカ陽気と空腹とでそろそろ集中力の切れ始めた莉兎は窓の外を流れる雲を見つめていた。
 雲を目で追いかけ、完全に自分の世界を作ってしまっている。
「莉兎、莉兎、あたってるって。」
「は、はい?!」
 急に背中をつつかれて、思わずバネのように飛びあがる。
 突然立ちあがった莉兎に、教室内に一瞬静寂がおとずれたが、すぐに笑いが湧き起こった。
 先生でさえも苦笑している。
「・・・ばか。」
「はぅぅ・・・。」
 莉兎に教えてくれた友達も呆れてしまっている横で、莉兎は真っ赤になって縮こまるばかり。
 そういう所はPrismaticを離れても同じらしい。
「さっきの莉兎おもしろかったよね〜(笑)」
 もちろんそのネタが昼食時に出ない訳がない。
 お弁当を広げながら楽しげに友達が話題に出してくる。
「はぅぅ・・・。」
 またもや莉兎はおはしをくわえて縮こまる。
「ボ―ッとしてるからだよ(笑)」
「マンガみたいだったよね、あれ(笑)」
「いや〜貴重なもん見たわ。」
 莉兎以外の3人は満足気に笑いながら莉兎をからかってくる。
「最近『〜アル』とか『〜でございます』とか変な言葉づかいなるし・・・もう最高〜(笑)!!」
「どこから覚えてくんだろね(笑)」
 Prismaticのメンバーといる時以外でも王や流架の口癖が出てきているらしい。
「みんなおもしろがってるでしょ〜(泣)」

「じゃね、莉兎〜。また明日〜☆」
「また笑わせてね〜(笑)」
 部活に行く友達に別れを告げて、莉兎は教室を出る。
 教室で話に花を咲かせている人たちや、楽しそうに部活に向かう人たちの中を莉兎は歩く。
 いい感じに解放感に満ち溢れてて放課後の学校は気持ちいい。
「あ、買い物行かなきゃ。」
 ふと現実に戻り、母親からたのまれた用事を思い出す。
 すぐさま手帳を取り出して、買うものをチェック。
「卵と・・・牛乳かぁ。さっさと買って帰らなきゃね。」
 そのまま近くのスーパーへと足を運ぶ。
「あら莉兎ちゃん。またお買い物?」
 このスーパーではもう常連の莉兎。
 お店の人や近所のおばさんから声をかけられる。
「買い忘れは・・・なし、OK♪」
 卵が割れないように気をつけて袋に入れてから、莉兎はスーパーを後にした。
「あ〜遅くなっちゃった〜。急いで帰らないと。」
 もう日が沈みかけていて、空を紅く染めている。
「莉兎ちゃ〜ん♪」
 トトトとかわいい足跡が聞こえてきたかと思うと、いきなり後ろから遊詩に抱きつかれた。
「遊詩?!どうしたの、1人で。」
「1人じゃないよ〜。章瀬ちゃんがいるの。」
 遊詩の幼稚園カバンを持って章瀬も現われる。
「あれ、今日は章瀬がお迎え当番だっけ??」
「ううん。何かお母さん風邪なんだって。だから代わってあげたの。」
「そっか。じゃぁ早く帰ってご飯作らないとね。遊詩、行こっか?」
「うん☆」
 遊詩をはさんで3人で手をつないで歩き始める。
 紅くキレイな夕日を背に歩いていると、長く伸びた黒い影が3人の前へと現われた。
 何の危険もない平和な時間だけが過ぎていく―。


莉兎の私生活って事で簡単かなぁって思ってたら…
普通すぎて難しかったです(笑)
学校でも敬語なのか、朝はどんななのか…
莉兎のモデルのコの協力を得て
無事何とか書き終えられてよかったです(*^▽^*)
Writer:香澤麗

品物

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