キリ番5555番リクエスト:ワンVS紫苑

風が吹き荒れる荒野に一人…。
ワンは一人の男を待っていた。
目を閉じ、全身の感覚を集中させる。
遥か遠くからでもその気配は感じられる。
「この男…いや、この漢とは命をかけて決着をつけねばなるまい。」
普段のワンからは想像もつかない程の闘気が充満している。
「…待たせたな。」
その漢、シオンという。
「ふん…別に構わん。ようやく決着が付くのだからな。」
ワンは組んでいた腕を解き、シオンを見据える。
周囲の空気までもがその闘気に怯えるかのように…全てが停滞し、静寂と化す。
「相変わらず…だな。」
ふっと、笑いを零し、構えを取るシオン。軽くステップを踏んでから静止する。
刹那とも永遠とも取れるその時間。
均衡を破ったのはシオンだった。
二人の間合いは三歩半。その間合いを一瞬で詰める。
右の下段蹴りをフェイントにし、そのまま上段に蹴り込む。
しかし、それは事前に予測されていたかの如く、すんなりと避けられる。
そして、また静寂…
「やっぱり、小手先では勝てないか。」
「無論だ…全力で来い!!」
その言葉も終わらぬうちに、シオンは再び間合いを詰める。
気を抜けば終わる。
それはお互いに感じている事。
凄まじいほどの打撃音。
息つく間もない攻防戦とは正に、この事だろう。
時に空を切り、空気を震えさせる。
時に相手を捕らえ、傷を与える。
時に相殺し合い、その度に衝撃音がこだまする。
どのくらいの時間、闘っていただろう…
お互いに、一旦離れる。
息が切れる…
「はぁはぁ…やっぱり、強いな…。」
「くっ…小僧もやるようになった…。」
「そりゃどうも…けど、そろそろ決めるよ。…時間も無いしね…。」
「そうだな…行くぞ!」
同時に動く二人。
「これで最後だ!!」
シオンの繰り出す蹴りで空気を裂き、無数の衝撃波が飛ぶ。
「はぁっ!!!」
その全てをワンが放つ氣弾が相殺する。
目が眩む様なまばゆい光…その中で二人は激突する。
 
『2P、WIN』
「アイヤー!!負けちゃったアルヨ!!」
「これで10勝9敗か…。」
街の一角にあるゲームセンター。その中でアーケード機を挟んで向かい合う二人。
「やっぱり、大会優勝者は強いアルネ〜。」
王は腕を組み、ふむふむと頷く。
「…てかさ、その大会優勝者と互角に渡り合ってるアンタは何者だよ…。」
二人がやっていたのは今、巷で大ブームのゲーム『インフィニティー・ファイターズ』
その人自身のデータを読み込み、自分自身をキャラクターとして使うことが出来る。
正に『無限』のキャラクターが存在する訳だ。
「俺さ…大抵の大会に出てるけど、アンタは見かけたことないぞ?いったい、何者なんだ?」
「ふっふっふ…ただの暇人、アルヨ♪」
「ふぅ〜ん…まぁ、いいけどね。じゃ、俺はそろそろ行くわ。友達と約束あるからさ。」
「そうアルカ。じゃあ、また機会があったら対戦するヨロシ♪」
「あぁ。じゃ、またな。」
そう言いながら、席を立ち、店を出る紫苑。
「変な人だったけど…強かったな。まだまだ修行が足りないな。」
約束の場所へと足を進める紫苑。
彼の後ろのゲームセンターにはもちろん、看板がある。
『GAME King』
ついでにいうと『インフィニティー・ファイターズ』の本体には…
『King Entertainment』
この事に紫苑が気付くのはもう少し後……
かもしれないし、気付かないかもしれない。


正に何でも有りの王さんです。コブシを交えたいとの事だったのですが、実際に戦っては勝てませんからね…こういう形にしてみました。これもある種のオン・オフ、現実世界と電子世界ですのでプリスの醍醐味を表せて書けたと思います。
Writer:白夜輝星

品物

Copyright (C) 2005 Key of Star - endless story -.

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送